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zoom RSS 『破提宇子』稽古場日記−7

<<   作成日時 : 2015/09/10 03:50   >>

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七回目の稽古の日がやって来た。まだ七日しかやってないというよりはもう七日も使ってしまったって事かも知れない。

今日は、前日に途中まで進めた第八場を頭から……なんと男優陣、最若手の佐藤君が山本さんの代役に名乗りをあげる。これがなかなかうまくやっている。最初は松永の見せ場、そして帽子の男とヒロイン璃辺華、そのラヴシーンのような最後の語りかけに進んでいく。私の作品には度々出てくる『帽子の男』という役名は、私自身……と言うよりは、このようにありたいと願う私の理想像だ。大抜擢されたミッチーも苦戦している。泣いてはいけない、優しく語りかけろ、最後の晩餐でパンを裂き、葡萄酒の杯をまわした主のように……

帽子の男のシーンが終わると、断末魔の特高刑事が『破切支丹』からの引用を語りながら璃辺華に迫っていく。これは闘いでは無い。自らを鼓舞し、納得させる為に、自らに語る言葉だ。やっぱり松永には大役だ。それでも、ダメがすーっと通って行くと、この男にこの役を託したのは間違いではなかったと思えてくる。ミッチーもダイジュも、彼等に託した役と対峙することで大きく育って欲しい。週一回のワークショップを三年続けるよりも、この稽古と本番の二ヶ月こそが、彼等の血肉となる筈だ。

特高刑事の最後のあがきが終わると、それからは、我が全作品で、おそらく最強のデウス・エクス・マキーナ、璃辺華の叫ぶような祈りへと繋がっていく。このシーンは音楽を前提に書いているから、デモも届いておらず、音楽の助けのないところで俳優はボルテージをマックスにまで持っていかねばならない。それでもやってくれるのが松岡規子という女優さん。いやあ、ノリちゃんがこの役を受けてくれたからこそ、私はこのクライマックスのモノローグを書けたような物だ。そも、演劇の言葉は、その根源においては神に向かって語られた物だ。だから私はこの言葉をそれこそ神に向けて書いた。劇は終局へと向かって行く。

エピローグ前の小さな間奏曲……中村真衣は未熟だがよく頑張っている。ただ、寺田大先生が真っ先に作曲してくれた手鞠唄のメロディーを覚えるのに苦戦しているようだ。ああ、そういえば寺田に音楽を付けて貰うようになってから、もうかれこれ三十年以上になる筈だが、歌詞付きの唄を書いて貰ったのは初めてだ。まあ、俺はミュージカルとかが大嫌いなんで、歌を作曲して貰うという機会が無かったのだな……

エピローグ……旗揚げメンバーでもあるナナキッチンこと円谷奈々子と、もはや劇団員同然となっている、とんきちこと野口清和によるお芝居の締めくくり。ナナキチもとんきちも、さすがに紅の常連メンバーだ。悩みや疑問もあるのだろうが、それでも自然に私の紡いだ言葉に血肉が与えられていく。そうそう、これこそが私の観たかった物なのだ。俳優の肉体を通さなければ、紙の上の文字でしか無い、戯曲を読んだだけでは絶対に伝わらない何か……それこそが演劇の演劇たる所以なのだ。そこに血が通っていくことこそ、作・演出家冥利に尽きるという物だ。私はその現場に立ち会うだけで無く、積極的に関与したい……だから劇作と演出を兼ねる、作・演出家という者になった。

日本では当たり前のようになっているこの役割、世界的にはかなり珍しい、日本の小劇場界で異常進化を果たした現象らしい。だが、劇作家、演出家、俳優……その他のプランナーにしたってそうだろうが、その扱う世界、構築する世界は微妙にベクトルが異なり、どれが大事だとか優れていると云う事では無い。作家が演出を兼ねることの是非は、随分昔から議論されてきた。だが、私の劇作と演出はセットだ。決して切り離せない者なのだ。初日を迎えた時、或いは千秋楽を向かえた時、その時こそ我が劇作は完結する。だから、こんな美味しい役割を誰にも渡したくないのさ。誰が渡してやるものか。本当は俳優としても出たいぐらいだが、私のキャパシティーはここまでだ。

そして演出家は、
「テーブル稽古は明日で終わりにする。明日、もう一度通し読みをしよう。休みが明けたら、ホンを持っていて構わないから立ち稽古に入ろう」
と宣言した。

お楽しみはこれからだ。


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演劇実験室∴紅王国・第拾参召喚式『破提宇子』のプロモートページはこちら↓

http://www5e.biglobe.ne.jp/~kurenai-/hadaiusu-promo.html

入場券は9月6日(日)より発売、予約開始しました。

前売り券購入フォーム、ゲッティーは上記プロモページにリンクあり。

電話予約 カンフェティチケットセンター 0120-240-540(受付時間 平日10:00〜18:00)
ご注文の際に「野中友博の扱いで」とお申し付け下さい。

当日、劇場受付にて料金の精算、とりあえずネットで予約のみと云う方はこちらから。自動的に野中の扱いとして登録されます。
携帯から http://ticket.corich.jp/apply/67466/001/
PCから https://ticket.corich.jp/apply/67466/001/

皆様、御来場、お待ちしてます(^_^)

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