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zoom RSS 執筆から上演への道のり

<<   作成日時 : 2011/01/21 00:14   >>

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 ちょっと半分愚痴めいた話。

 私のような劇作と演出を兼ねる作・演出家である劇団主宰者が舞台に作品を具体化するまでに、どんな手順が必要か書いてみようと思う。

 主宰者としては、まず、上演のための回転資金を用立てたり、キャストやスタッフに出演交渉したりという事をしなきゃならないが、主宰と制作、その他お金や雑務にかかることについては今回は省く。ただ大変だとだけは書いておく。お芝居というのは、実際の創造的部分よりも雑務にかなりの時間とエネルギーを使う。代わりにやってくれる人を探すにしてもその人の人件費だって馬鹿にはならない。が、この事は置いておく。

 さて、まず何かについて戯曲を書こうという具体的なモチベーションが定まったら、まずは最低三ヶ月の誰にも邪魔をされない読書や取材、資料検討の時間が必要だ。最低でも三ヶ月……私は調べすぎる劇作家としても知られているので、下手をすると半年から一年近く、資料読みと取材ばかりしている場合がある。

 次に、お芝居の構成を決める、登場人物の設定や劇の流れとしてのプロット構築に最低でも一ヶ月。これも最低で一ヶ月。その間、バイトとか人事交渉とか、別のことは一切しない。ひたすら書くべきお芝居の青写真を作り、イメージトレーニングを重ねて構想を練る。この時期はある意味で一番重要なので、他の事を一切やってはいけない。

 そしてプロットが出来上がり、自分の中に「既に作品は頭の中では出来ている。後は書くだけ」という自覚に達したら一気に書き始める。長編戯曲の場合、最短では四日で書いたという事もあるが、やはり最低でも十日から二週間、推敲の時間も入れたらやはり一月ぐらいは必要。勿論、一気に書いていくから他の事はしないに越した事はない。ただ、執筆期間中はある種の興奮状態にあるため、ある程度、他の事をする精神的な余裕が出来る……と言っても、それはプロットがきちんと書けている場合であって、稽古初日以降に執筆がずれ込めばそれは地獄の日々となる。一気書きの第一稿と、直後の修正の第二稿までは一気にやってしまわなければ基本的にはダメだ。

 実質的な第一稿となる第二稿が脱稿すれば、出演交渉やその他の雑務の時間に入る。この間はなるべく書いた事を忘れるようにする。雑務以外の時間はなるべく作品から離れた映画や小説を読んで、リハビリテーションをする。これに一ヶ月から二ヶ月……お金を稼ぐための仕事はなるべくこの時期に合わせられればベターである。

 雑務が終わったら稽古開始に向けて第三稿以降の推敲に入る。これはどれぐらい必要かというと作品によりけりだが、見直しと書き直しに一週間から一月は必要。稽古開始までにとりあえずの上演台本を決定する。

 上演台本は自分で印刷する場合と業者に発注する場合がある。が、兎に角、第二稿以降の台本で出演交渉をしてきたキャストやスタッフに、顔合わせ時点で上演台本の決定稿を渡す。そして私の主宰する演劇実験室∴紅王国の場合、一週間の公演をする場合、実質的な稽古日を休みを除いて40日ぐらいとり、本番後の後始末も含めて、座組が稼働している状態がだいたい二ヶ月ぐらいの塩梅になる。

 ……さて、構想から上演終了までの日数を足してみよう……ほぼ10ヶ月と言う事になった。これは最低期間なので、場合によっては一年超になる。(事実、『我が名はレギオン』は着想から上演までに二年、全ての精算を終わらせるまでに更に一年以上を必要とした)

 と言う訳で、私が正常に表現活動を継続するためには、ほぼ一年を演劇中心の生活にしなければならないのである。

 しかしながら、私の現状はどのようになっているか……? Twitterやmixiボイスを見ている人ならお察しいただけるだろうが、今日、私のやっていた事はタロット講座のテキスト書きである。私はタロッティストとしての自分にもプライドを持っているので手抜きはしない。しかしそのテキストの執筆時間に割いている時間は半端ではない。創作なんぞ出来なくなるのが道理だ。

 そんな訳で、吉祥寺のタロッティストとしての活動は縮小したいというのが本音だ。私の持っているタロット講座では、入門編を修了しそうな人が今のところ二人。この後、実践編、応用編を修了する人が出るところまで一応のテキストを書き上げたら、講座のテキストを書くという時間は無くなる。ただ、それを全て終わらせるには、多分、あと一年ぐらいの時間が必要だ。

 劇作家協会の二つの戯曲セミナーの講師をしていた時期は、時間的にはしんどかったけれども、何とか自分の劇団活動と両立させる事が出来た。それは演劇という枠内で、意識のベクトルの切り替えが容易だったのだと思う。

 私は演劇は魔術だと考えている。そしてタロットも単なる占いではなくて魔術だと考えている。しかし、タロットの教室に来たいという生徒さん達は、魔術ではなく、占いとしてのタロットを求めているから、魔術である演劇と魔術であるタロットという形ではシンクロしない。そこが大変に難しいのである。

 てなこって、吉祥寺のタロッティストとしての活動は段階的に縮小していく事になると思う。タロット・リーディングをして欲しいと言う方は今のうちにご来店いただきたい。私の舞台に参加したいという方には、今しばらくの時間を頂きたい。

 次のお芝居は、多分、社会性を持ちながらも、現代の鏡花の異名に恥じない、幻想耽美主義の極北を目指したいと思っている。演劇人・紅王に来焚いて下さっている全ての方々に、今しばらくの猶予を頂きたいとお願いしておく。

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