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zoom RSS ライダー、トート、カモワン……20世紀のタロットのエポック

<<   作成日時 : 2010/07/23 01:27   >>

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 20世紀のタロット史上のエポックとは、1910年のアーサー・エドワード・ウェイトのライダー・タロットの出版、1944年のアレイスター・クロウリーによる『トートの書』とトート・タロットの発表、そして最後に、1998年のフィリップ・カモワンによるカモワン・タロットの公開の三つだと思われる。イスラエル・リガルディーによる『黄金の夜明け魔術全書』の公開と、ロバート・ウォンと共同で公開されたゴルデン・ドーン・タロットの公開も見逃してはならないが、こと、タロッティストに多くの示唆を与えたのは、ライダー、トート、カモワンの三つのタロットだったと思われる。特に最新のエポックであるカモワン・タロットの公開は賛否両論を含んで世界中のタロッティストを揺るがしている。私のブログのアクセス解析をしてみても、カモワンについてのブログへのアクセスがもっとも多い。これはカモワン・タロットが良しにつけ悪しきにつけ、タロッティスト達の注目を集めている事の証左であると思われる。

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 カモワン・タロットの評価に賛否が分かれるのは、これを公開したフィリップ・カモワン氏が、カモワン・タロットこそ唯一正統なタロットであり、その奥義を伝えられるのは自分一人であると断言している事に尽きる。つまり、カモワン・タロットの使い手になるためには、ライダー・ウェイト系列やトート・タロットなどの魔術系タロット、新解釈で作られたトランス・フォーメーション・タロットは勿論、同じくマルセイユ系でも、グリモー版やその他のマルセイユ・タロットをも改悪されたまがい物として使用する事は出来なくなる事を意味する。学研から出版されている『秘伝カモワン・タロット』の中で、改悪されたタロットの最たる物としてヤリ玉に上げられているのはウェイトのライダー・タロットであるが、むしろ、改悪されたまがい物として、カモワン・タロット以外のマルセイユ系タロットの価値はタロッティストの中で暴落してしまった感がある。

 カモワン流とされる人物札の視線を追うというメソッドは確かに魅力的な物であり、多くの人物札が正面を向いているライダー・ウェイト系列やトート・タロットなどではそのメソッドを行う事は出来ない。人物札の視線を追うという意味では、ゴールデン・ドーンで行われていたオープニンク゜・オブ・ザ・キーという数時間にわたるであろう複雑なメソッドも、小アルカナのコートカードの視線の向きを追うので、ライダーもトートも使えない事になる。そうした意味では、黄金の夜明け系の魔術研究者からは、ライダー・ウェイト系列は、占いにしか使えないにもかかわらず、オープニンク゜・オブ・ザ・キーには使えないタロットとして批判的に論じられてきた経緯がある。

 ただ、ウェイトの著書『タロット図解』を精読すれば、ウェイトがそのタロットの制作過程において、占いに重きを置いていた訳ではないと言う事は容易に理解できよう。ウェイトはゴールデン・ドーンのタロット解釈、特に『Tの書』に記された小アルカナの意味の具体化のためだけに小アルカナの総絵札化を試みたのであって、その小アルカナの総絵札化の功労は、むしろ作画者であるパメラ・コールマン・スミスに帰する物が大であると考えられる。もっとも占いに適したタロットとして多くのタロット教室で推奨されるライダー・ウェイト系列であるが、そも、占いのためのタロットという認識は根本から改められねばならないのかも知れない。例えばライダー・タロットの「高等女司祭」のカードを見れば、そこに込められた魔術的カバラとエジプト神格の象徴を巧みに隠している事が解る。

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 一方で、トート・タロットの解釈はゴールデン・ドーンの『Tの書』の解釈を『法の書』の成立以後のクロウリー思想によって再創造された物だから、新時代に対する新しいタロットだという事ができる。トート・タロットがモダン・タロットの時代から、トランスフォーメーション・タロットの時代の過渡期に現れたという事は象徴的だ。トート・タロットは、
「タロットとはその時代に合わせて新たに創造されて良い」
というタロッティストに対する一つのメッセージの役割を担っていたと私は考えている。クロウリー思想による「ホルスのアイオーン」が神人合一の時代の象徴なら、時代と共にタロットが変化する事の先鞭をつけたのだと言って良い。難解とされるトート・タロットだが、私自身は今、トート・タロットを最も好んで愛用している。

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 そして1960年代以降のニューエイジ・ムーブメントの中で、多くの新作タロットが作られてきた。1980年代後半、タロットを巡る情勢は、ゴールデン・ドーン系の高等魔術か、或いはアメリカのポップ・オカルトの流れにある魔女術系の解釈をとるかで混乱を極めた時代があった。それらを経過した上で、世界のタロッティストは、よりポジティブでオープンな自由なタロット解釈に向かって開かれてきているように見えた。タロットに正統や正解はないのだから、タロッティストは自由にタロットを扱って良い……それがミレニアムを迎えるタロッティスト達の潮流であるはずだった。

 そのさなか、20世紀の世紀末に一大事件が持ち上がった。フィリップ・カモワンとアレハンドロ・ホドロフスキーによるカモワン・タロットの公開である。

 カモワン・タロットの功罪とは、それがマルセイユ系タロットのルネッサンスとは必ずしも無関係であるという事にある。何しろカモワンとホドロフスキーの「復元した」と主張するカモワン・タロット以外は改悪された贋物なのだから、それ以外のマルセイユ・タロットは使うに値しないという話になってしまう。正統や正解はないという合意が形成されつつあったタロッティスト達の中に、突然、「これこそが唯一正統な本物のタロットである」と主張するカモワン・タロットが投げ込まれたのだ。

 私は一タロッティストとして、最もトート・タロットを愛用はしているけれども、ゲストの質問内容や、その人のイメジャライズによって、タロット・デッキを使い分けるという占術のスタイルを持っている。大概のゲストはライダー・ウェイト系列のタロットを選ぶが、私の占術スタイルはゴールデン・ドーン流の変形であるので、ライダー・ウェイト系列でも正位置逆位置をとらずにエレメントの相生相克をとる。勿論、カモワン・タロットを使用デッキに加えて、カモワン・タロットを使う時はカモワン流に読むという事をやってできなくはないと思うが、私は唯一の奥義の伝授者と公言しているカモワン氏の弟子ではない。故にカモワン・タロットを使うのは筋が通らないという事になるであろう。

 まもなく、私のタロット教室も開講するが、多くのタロット教室が推奨するライダー・ウェイト系列を押しつける事はしない。マルセイユ・タロットからオスワルト・ウィルトのタロー、その他、メディテーション・タロットや魔女のタロットなど、様々なタロットの違いや善し悪しを御紹介したいと思っているが、唯一、カモワン・タロットについてだけはお教えする事が出来ない。何故なら、奥義を伝えられるのは御自身だけだとカモワン氏が断言しているからである。

 カモワン・タロットを唯一正統なタロットと認めるかどうか? それはこれからタロットを扱おうとする一人一人に問われている問題だ。

 私にとってははっきりしている。

 カモワン・タロットの公開以前から、タロットは占術として一定の評価と信頼が為されてきた。それらは、カモワン氏がまがい物として弾劾しているライダー・ウェイト系列やトート・タロットなどの魔術系タロット、その他のトランスフォーメーション・タロットやカモワン氏曰く改悪されたとされるマルセイユ・タロットによってリーディングがされてきたのである。その事実をカモワン氏はどのようにお考えなのか聞いてみたい物である。


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 紅王は吉祥寺のギャラリー&占いシコウにて、タロット・リーディングとタロット教室を開いています。

 詳細は下記サイトから。

http://www.shikou5584.co.jp/fortune.html

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